@article{oai:icu.repo.nii.ac.jp:00005072, author = {Itoh, Tatsuhiko}, issue = {52}, journal = {人文科学研究 : キリスト教と文化}, month = {Dec}, note = {本研究は、これまで、海外でもしばらく研究が途絶えていたFundamentum(「[オルガン演奏の]基礎」、日本語の定訳はない)という、オルガン演奏や作曲の実態の歴史に関する重要な史料について、新たな関心を喚起しようとするものである。ここではハンス・ビュヒナー(Hans Buchner,1483-1538)が残した手書きのFundamentum(1520年頃成立)と、オルニトパルクス(Andreas Orinithoparcus, 16世紀、生没年不詳)による音楽理論書(1517年ライプツィヒで出版)「Musicae activae micrologus」で、それをジョン・ダウランド(John Dowland, 1563?-1626)が英訳した出版物「A Compendium of Music Practice(音楽実践概論)」(1607年ロンドンで出版)の比較検討を通して、15-16世紀のオルガン奏者が、演奏の実践的教育の現場でどのような演奏、教育活動をしていたのかについての実例を、対位法の説明の仕方を通して報告することにした。また、このテーマに関する詳細な文献表を整備することで、今後の研究の進展に資することも意図している。 この時代の社会的背景として重要なことは、まさにこの時期に出版技術が浸透し、音楽書や楽譜を含めて、多くの音楽理論書が出版された画期的な時代であったことである。こうした傾向は、特にドイツ語圏内の国々で顕著であり、一方で、Fundamentumもまた、同様な国々で資料が多く残されていることは、単なる偶然の出来事ではなく、手書きによる理論説明とそのための譜例と、同様な内容の印刷された出版物との関係性がどのようなものであったのかについては、今後さらなる検証が必要になるであろう。また、ドイツ語圏の国々において、こうした音楽の指南書が重用され、聖歌や賛美歌の定旋律に基づくオルガンのための作品が作られる伝統が形成されたことは、後のJ.S.バッハのコラール作品にもつながる重要な歴史である。 Ornithoparcus/Dowlandの著作と、Buchnerの手稿譜の内容を比較検討すると、前者は、当時の伝統的な対位法理論について述べる一方、Buchnerの譜例は、より実践的な記述になっており、当時のオルガン奏者が、特に即興演奏の現場において、Fundamentumとして記述された旋律定型を使いながら、実際の演奏に応用していた可能性が明らかである。}, pages = {1--27}, title = {Cantus-firmus Technique in the Sixteenth-century Fundamentum and Contemporary Counterpoint Treatises: An Introduction with an Extensive Bibliography on Fundamentum}, year = {2020} }