@article{oai:icu.repo.nii.ac.jp:00004763, author = {郭, 立夫}, issue = {13}, journal = {ジェンダー&セクシュアリティ}, month = {Mar}, note = {2012年、中国政府はソーシャル・ガバナンスを打ち出した。中国の市民団 体は法令に基づき民政局への登録が求められるが、ソーシャル・ガバナンス体 制下で、市民団体の登録基準は緩和され、民政局に認可を受けた市民団体の数 は急増している。だが、こうした規制緩和の流れに反するように、同志 (LGBT)団体は「道徳規準に適さない」ことを理由に民政登録を拒否される事 例が相次いでいる。  同志団体をソーシャル・ガバナンスから排除する際に政府機関が用いてきた 「道徳」とは、いったい何を指すのか。そして同志団体は「道徳」言説に対し ていかなる生存戦略を採用してきたのか。本稿では「同志」との関連で用いら れる「道徳」をめぐる公的言説に着目し、その背景に隠されたイデオロギーや 同志団体の対抗戦略を分析し、次の点を明らかにした。  まず、中国政府は「中国社会の伝統」である「道徳」がモノガミーな異性婚 制度に依拠している点を強調して「同性愛」と矛盾する点を述べてきたが、そ のような「道徳」言説は実は新中国の成立(1949)後に構築されたものにす ぎなかった。また、2012年以降、「愛国/愛(共産)党」が市民の遵守すべき 基本「道徳」のひとつとみなされるようになり、その結果、89年以来の民主 運動と人的な繋がりを持った同志運動は民政部への登録から排除されてきたの ではないかと指摘した。民主運動は1990年代以降も海外へ拠点を移して共産 党政権との間で「道徳」をめぐる抗争を続けており、同志運動はその狭間で困 難な政治状況に置かれたのである。そのような厳しい政治状況の中、同志運動 は生存戦略としてみずからが「道徳的」であることをしばしば強調するような 同化戦略を用いており、その結果、共産党の覇権体制や排外的なソーシャル・ ガバナンスをはからずも強化していると論じた。}, pages = {85--110}, title = {道徳をめぐる抗争 ― 中国における「道徳ガバナンス」と同志運動}, year = {2018} }