@article{oai:icu.repo.nii.ac.jp:00004566, author = {IKOMA, Natsumi}, issue = {12}, journal = {ジェンダー&セクシュアリティ}, month = {Mar}, note = {フェミニスト的な童話の語り直しで知られる英国現代作家アンジェラ・カー ターは、特に狼のモチーフを好んで用いた。狼が出てくる物語で最も有名なも のは17世紀末に出版されたペロー作「赤ずきん」であろうが、女性の性的無 垢と男性の性的放縦が対比され、女性のセクシュアリティを無化した家父長的 物語となっている。本論文ではカーターによる四つの狼物語を分析し、「赤ず きん」に顕著に見られるような二項対立的な性のジェンダー構造をカーターが 撹乱する様子を見る。カーターは狼を使って、西欧のキリスト教による性の抑 圧を批判し、性を自然な営みとして再評価する。そして、カーターの狼物語は 転覆的なだけではなく、狼物語を歴史に位置付け、狼人間の言説がちょうど魔 女言説と同じように機能し、ジェンダー、セクシュアリティ、年齢、身体的な 特徴など、特定のグループの排除と直接的につながってきた歴史的な事実を明 らかにしている。狼や狼人間への恐怖が恣意的に構築されていく過程は、社会 において存在を許される人間の概念が構築される過程でもある。その中で、規 範を逸脱する人間がいかに狼とされ、存在を消されてきたかを一連のカーター の狼物語は暴露すると共に、癒しと赦し、共生の可能性をも描き出す。}, pages = {9--26}, title = {狼と魔女:アンジェラ・カーターの童話における性的異端者}, year = {2017} }