@article{oai:icu.repo.nii.ac.jp:00004359, author = {宮城, 幹夫}, issue = {48}, journal = {人文科学研究 : キリスト教と文化}, month = {Dec}, note = {本論文の目的は、期間を中華人民共和国設立以降から現代に絞って、近代中 国におけるプロテスタント基督教がどのように受容されてきたのかを神学的に 考察することである。近代中国に於ける基督教の受容は、1949年設立の共産党 政権に関連している。三自愛国教会は、中国共産主義思想を神学的に昇華し、 「自立、自養、自伝」の信条をもって世界の教会との関係を絶ち、政府を擁護 する唯一の政府公認の三自愛国教会と、三自愛国教会の神学を受入れ三自愛国 教会として政府登録することを拒否している家庭教会に大まかに二分されてい る。由って、基督教の社会における受容のされ方も、両者の神学理解によって 異なる。三自愛国教会は、西洋・日本の植民地政策によって抑圧されていた人 民を社会革命で解放する共産党に同調することで、中国社会に受け入れられた と判断することも可能であろう。一方、教会の政府登録をとおして三自愛国教 会に加わることを拒否したが故に、政府の弾圧で地下に潜伏させられた地下教 会は、文化大革命後の宗教自由化政策によって教会活動を政府に黙認される存 在となり家庭教会と称されるようになった。しかし、今だ非合法的存在であり、 家庭教会が弾圧に抗議する声明で明らかにしたように家庭教会に対する政府の 弾圧は存在する。しかし、家庭教会は政府の弾圧にも拘らず、信者数を急激に 増やし、1999年時点で、家庭教会の信者数は三自愛国教会の信徒数1,300万人 に対して4,500~6,000万人と推定されている。日本基督者の人口比率約1%と比 較すると、家庭教会は日本より遥かに社会に受容されている。  教会は、歴史の当初から国・民族を越え、宣教を「与え」「受ける」という 継続性の中で遂行してきたが、三自愛国教会が、中国の社会革命による人民解 放を神学的に昇華させ自らの神学を絶対化することで、宣教の「与え」「受け る」継続性を否定し、家庭教会を教会として認めていない。しかし、1998年、 家庭教会は声明を通し、三自愛国教会を教会として認めると宣言し、又、家庭 教会も教会として認められることを政府に要請した。声明は、政府に家庭教会 に対する弾圧を止めるよう抗議すると共に、中国に神の祝福があることを祈り、 政府との和解を願うものとなっている。  グローバル化した現在、三自愛国教会が政府にはたらきかけ非合法状態の家 庭教会を教会として合法化させ、二つの教会が共に、国を越えた教会との「与 え」「受ける」継続性の中に自らを位置付け、世界宣教の業に加わることのイ ンパクトは計り知れないものがあるであろう。}, pages = {245--297}, title = {近現代中国の社会政治的コンテクストに於けるプロテスタント基督教}, year = {2016} }