@article{oai:icu.repo.nii.ac.jp:00001860, author = {田中, 真奈}, issue = {1}, journal = {Gender and Sexuality : Journal of the Center for Gender Studies, ICU}, month = {Mar}, note = {P(論文), 「ジェンダーと人間の安全保障」をテーマとした報告の依頼を受けたときは多少困惑した。インドの片田舎で行っているコミュニティー活動が世界の安全保障と一体何の関係があるのだろうか?人間の安全保障に係る最終報告書を読み進めるうちに、その疑問が氷解していった。過去10 年に世界各地で勃発した国内紛争の数々は、安全保障の問題が国内の貧困や不平等と密接に関わることを示す。従ってアジアにおける人間の安全保障を考えるとき、社会の底辺で暮らす人々のエンパワーメントの問題が重要となる。国家の治安や集団安全保障は遠い世界の話であるが、貧困と不平等はインドに暮らす自分にとって身近な問題である。本レポートはインド・ラジャスタン州におけるイスラム子女の初等教育の取り組みを通じて、貧困とエンパワーメントについて現場のレベルから思うところを述べたものである。開発分野では『貧困』や『欠乏』についての多くの考察がなされてきた。なかでもロバート・チェンバースの著書にある貧困の分析は、搾取や危機に対する脆弱性といった構造的な問題を明示している。この難しい課題に対して、息の長い活動と質の高い教育で応えるローカルNGO がインドには数多く、私が2 年半を過ごした団体もそのひとつである。イスラム子女への教育活動を通じて学んだことは、教育-とりわけ女子教育とエンパワーメントの関係が一般的に論じられるほど明確でないことである。家族や地域の理解も将来の展望も無い状況で、読み書きができることに一体どれほどの意義があるのか?むしろ自分の置かれた状況に疑問に感じたり、書籍を通じて外の世界に触れたりすることで、その後の人生が余計に苦しいものになりかねない。エンパワーメントというのは女子の就学率や識字率といったことでは測れない。教育を受けた女性が、差別や抑圧のなかで他の非識字女性と変わらぬ短い一生を送るのだとしたら、それが何の"power" と呼べるだろうか。しかし開発機関の中には数値の上昇やコミュニティーの反応といった一過性のものにとらわれ、本質的な変化(Transformation) の重要性を看過するものも多い。アジアにおけるジェンダーと人間の安全保障の研究が、将来に渡って貧困や差別の中に暮らす人々の視点から行われることを望んでいる。}, pages = {93--108}, title = {アジアにおけるジェンダーと人間の安全保障:女性と教育}, year = {2006} }