@article{oai:icu.repo.nii.ac.jp:00001082, author = {マーハ, ジョン C}, issue = {44}, journal = {国際基督教大学学報. I-A, 教育研究, Educational Studies}, month = {Mar}, note = {P(論文), 童謡(nursery rhymes:ナースリーライム)とは子供向けの短い詩歌のことで,通常,一つのストーリーを示すものである.童謡は,反復や言葉遊びを使ったり,風刺的だったり,特に意味のない音を使うなどの特徴をもつ,確立した言語類型である.文体的には,子守唄,指や手を使った遊び歌,なぞなぞ,数え歌や何かを覚えるための歌,早口言葉,言葉を重ねていく歌など,異なった種類の文体が存在する.音声構成についても,童謡ならではの特徴があり,例えば,形容詞はほとんど使われず動詞が多く用いられたり,強弱格や跳ねるようなリズムを持ったりする.子守唄には,わざと子供には発音しにくい音を用いたりするなど音声学上の「トリック」も使われている.童謡はまた,親と子供の会話も促す.童謡の歌詞には,パラドックスがあったり意味的に矛盾していたりするものもある.そしてさらに,例えば「牛が月を飛びこえた」など,通常の観念で理解できる「言葉と世界」とのつながりでは成立しないような,ぶつかり合いを含んだ言葉の世界観へ子供達を誘うのである.また,童謡は,様々な差異や同一性を含み,これによって,子供は,時間,場所,社会関係などの構造を理解していく.童謡の世界では,「なにか言う価値のある事を言うために発話する」という通常の言語行動の前提は成立しない.一つの世代から次の世代への電報ともいえる童謡は,独特の子供の文化を産み出すための言語や伝承的知識を含むものである.口頭伝承の童謡がもつ一つの重要な要素は,それがしばしばすでに絶滅してしまった言語の残存例を含んでいるということである.(例えば南アフリカのKukasiなど).童謡には方言の違いが反映されていることもある.また「子守り」文化の中には,童謡の形を借りて,辛いしかしユーモラスな部分も含んだ,あざけりに近い歌が歌われることがあるが,これは,社会批判を含む一つのディスコースである.すなわち,童謡が文盲や社会的弱者にとっての抵抗の武器となるのである.本論では英語,日本語,アイヌ語,フランス語,そしてドイツ語の童謡を例にとり,童謡は社会言語学的に研究されるべき,独立した言語の一類型であることを論ずる.}, pages = {189--202}, title = {童謡:その社会言語学的考察}, year = {2002} }