WEKO3
アイテム
{"_buckets": {"deposit": "87ffd122-2658-4a7e-8b48-710a4b57c151"}, "_deposit": {"created_by": 14, "id": "113", "owners": [14], "pid": {"revision_id": 0, "type": "depid", "value": "113"}, "status": "published"}, "_oai": {"id": "oai:icu.repo.nii.ac.jp:00000113", "sets": ["25"]}, "author_link": ["4193", "107"], "item_10002_biblio_info_7": {"attribute_name": "書誌情報", "attribute_value_mlt": [{"bibliographicIssueDates": {"bibliographicIssueDate": "2008-03-31", "bibliographicIssueDateType": "Issued"}, "bibliographicIssueNumber": "39", "bibliographicPageEnd": "127", "bibliographicPageStart": "107", "bibliographic_titles": [{"bibliographic_title": "人文科学研究 (キリスト教と文化)"}, {"bibliographic_title": "Humanities: Christianity and Culture", "bibliographic_titleLang": "en"}]}]}, "item_10002_description_5": {"attribute_name": "抄録", "attribute_value_mlt": [{"subitem_description": " チェーザレ・リーパの図像学事典『イコノロジーア』(1593年初版) にお\nいて定義されている5種類の「節制」の擬人像のうち、一人は「ポルポラ\nの服を着た女性」である。すなわち「節制」とは「中庸」であり、それは\n「ふたつのまったく異なる色」の「合成物」たるポルポラの服によってあら\nわされるのだという。これはポルポラが二色の合成色であることを最初に\n明言したという点で特筆すべきものであるが、リーパはこの知識をいかに\nして得たのであろうか。\n 古代のプルプラ貝による染色はとうに廃れ、15世紀の染色マニュアルや\n衣裳目録には、「ポルポラ」という色名すら見いだすことはできない。チェ\nンニーニ等による諸文献は、ポルポラが赤と青の合成色、もしくは赤その\nものとみなされていたことを間接的に伝えているが、いずれにせよポルポ\nラはすでに一般的な色彩用語ではなかったことが理解できる。\n 16世紀に各種出版された色彩象徴論からも同様な事情が窺える。エク\nイーコラ、テレージオ、モラート、リナルディ等は、ポルポラを古典文学\n作品に頻出する色と認めつつも、それを単に赤をあらわす色名の一つとみ\nなしているに過ぎない。\n しかし1565年、紋章官シシルの『色彩の紋章』のイタリア語訳が出版さ\nれたことが、イタリア人のポルポラ観を変えることになった。この書の第\n一部では、紋章を構成する基本色として金、銀、朱、青、黒、緑、プール\nプルが論じられているが、そこではプールプルが「他の [6 つの] 色で出来\nて」いる合成色であることが明言されている。さらにシシルは、プリニウ\nスや聖書の記述からプールプルが王や皇帝に属する「高貴な」色であるこ\nとを強調しており、このことはイタリア人にポルポラの象徴的価値を再発\n見させることにもなったと考えられる。\n シシルの論はイタリアで版を重ね、ロマッツォの『絵画論』等、16世紀\n後半以降に書かれた色彩象徴論に大きな影響を与えたが、リーパも寓意像\nの服の色彩を決めるにあたってこれを参照したことは間違いない。とりわ\nけ『イコノロジーア』におけるポルポラを着る寓意像の説明には、シシル\nのプールプル論が色濃く反映されている。さらにポルポラを二色の合成色\nとみなす考え方も、『色彩の紋章』第二部における、プールプルは「赤と黒\nのあいだの色であるが、黒よりも赤により近」く、「藍か青の色をもつ」と\nいう記述を踏まえたものだと考えられる。したがってリーパの言う「ふた\nつのまったく異なる色」とは、赤と黒、もしくは赤と青と考えられるが、\nそれを明らかにしなかったのは、ポルポラが人によってさまざまな色名で\n言い換えられる色調の定まらぬ色だからである。", "subitem_description_type": "Abstract"}]}, "item_10002_full_name_3": {"attribute_name": "著者別名", "attribute_value_mlt": [{"nameIdentifiers": [{"nameIdentifier": "4193", "nameIdentifierScheme": "WEKO"}], "names": [{"name": "Ito, Aki"}]}]}, "item_10002_identifier_registration": {"attribute_name": "ID登録", "attribute_value_mlt": [{"subitem_identifier_reg_text": "10.34577/00000106", "subitem_identifier_reg_type": "JaLC"}]}, "item_10002_publisher_8": {"attribute_name": "出版者", "attribute_value_mlt": [{"subitem_publisher": "国際基督教大学キリスト教と文化研究所"}]}, "item_10002_source_id_9": {"attribute_name": "ISSN", "attribute_value_mlt": [{"subitem_source_identifier": "0073-3938", "subitem_source_identifier_type": "ISSN"}]}, "item_creator": {"attribute_name": "著者", "attribute_type": "creator", "attribute_value_mlt": [{"creatorNames": [{"creatorName": "伊藤, 亜紀"}], "nameIdentifiers": [{"nameIdentifier": "107", "nameIdentifierScheme": "WEKO"}]}]}, "item_files": {"attribute_name": "ファイル情報", "attribute_type": "file", "attribute_value_mlt": [{"accessrole": "open_date", "date": [{"dateType": "Available", "dateValue": "2013-10-30"}], "displaytype": "detail", "download_preview_message": "", "file_order": 0, "filename": "05伊藤.pdf", "filesize": [{"value": "769.1 kB"}], "format": "application/pdf", "future_date_message": "", "is_thumbnail": false, "licensetype": "license_11", "mimetype": "application/pdf", "size": 769100.0, "url": {"label": "チェーザレ・リーパの「ポルポラ」", "url": "https://icu.repo.nii.ac.jp/record/113/files/05伊藤.pdf"}, "version_id": "7840ce55-5878-4aa0-822b-e645fd8e81bb"}]}, "item_language": {"attribute_name": "言語", "attribute_value_mlt": [{"subitem_language": "jpn"}]}, "item_resource_type": {"attribute_name": "資源タイプ", "attribute_value_mlt": [{"resourcetype": "departmental bulletin paper", "resourceuri": "http://purl.org/coar/resource_type/c_6501"}]}, "item_title": "チェーザレ・リーパの「ポルポラ」", "item_titles": {"attribute_name": "タイトル", "attribute_value_mlt": [{"subitem_title": "チェーザレ・リーパの「ポルポラ」"}]}, "item_type_id": "10002", "owner": "14", "path": ["25"], "permalink_uri": "https://doi.org/10.34577/00000106", "pubdate": {"attribute_name": "公開日", "attribute_value": "2013-10-30"}, "publish_date": "2013-10-30", "publish_status": "0", "recid": "113", "relation": {}, "relation_version_is_last": true, "title": ["チェーザレ・リーパの「ポルポラ」"], "weko_shared_id": -1}
チェーザレ・リーパの「ポルポラ」
https://doi.org/10.34577/00000106
https://doi.org/10.34577/00000106664376be-ef65-4fdf-9a48-f97fbddd5469
名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
---|---|---|
チェーザレ・リーパの「ポルポラ」 (769.1 kB)
|
Item type | 紀要論文 / Departmental Bulletin Paper(1) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
公開日 | 2013-10-30 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | チェーザレ・リーパの「ポルポラ」 | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_6501 | |||||
資源タイプ | departmental bulletin paper | |||||
ID登録 | ||||||
ID登録 | 10.34577/00000106 | |||||
ID登録タイプ | JaLC | |||||
著者 |
伊藤, 亜紀
× 伊藤, 亜紀 |
|||||
著者別名 | ||||||
識別子Scheme | WEKO | |||||
識別子 | 4193 | |||||
姓名 | Ito, Aki | |||||
抄録 | ||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||
内容記述 | チェーザレ・リーパの図像学事典『イコノロジーア』(1593年初版) にお いて定義されている5種類の「節制」の擬人像のうち、一人は「ポルポラ の服を着た女性」である。すなわち「節制」とは「中庸」であり、それは 「ふたつのまったく異なる色」の「合成物」たるポルポラの服によってあら わされるのだという。これはポルポラが二色の合成色であることを最初に 明言したという点で特筆すべきものであるが、リーパはこの知識をいかに して得たのであろうか。 古代のプルプラ貝による染色はとうに廃れ、15世紀の染色マニュアルや 衣裳目録には、「ポルポラ」という色名すら見いだすことはできない。チェ ンニーニ等による諸文献は、ポルポラが赤と青の合成色、もしくは赤その ものとみなされていたことを間接的に伝えているが、いずれにせよポルポ ラはすでに一般的な色彩用語ではなかったことが理解できる。 16世紀に各種出版された色彩象徴論からも同様な事情が窺える。エク イーコラ、テレージオ、モラート、リナルディ等は、ポルポラを古典文学 作品に頻出する色と認めつつも、それを単に赤をあらわす色名の一つとみ なしているに過ぎない。 しかし1565年、紋章官シシルの『色彩の紋章』のイタリア語訳が出版さ れたことが、イタリア人のポルポラ観を変えることになった。この書の第 一部では、紋章を構成する基本色として金、銀、朱、青、黒、緑、プール プルが論じられているが、そこではプールプルが「他の [6 つの] 色で出来 て」いる合成色であることが明言されている。さらにシシルは、プリニウ スや聖書の記述からプールプルが王や皇帝に属する「高貴な」色であるこ とを強調しており、このことはイタリア人にポルポラの象徴的価値を再発 見させることにもなったと考えられる。 シシルの論はイタリアで版を重ね、ロマッツォの『絵画論』等、16世紀 後半以降に書かれた色彩象徴論に大きな影響を与えたが、リーパも寓意像 の服の色彩を決めるにあたってこれを参照したことは間違いない。とりわ け『イコノロジーア』におけるポルポラを着る寓意像の説明には、シシル のプールプル論が色濃く反映されている。さらにポルポラを二色の合成色 とみなす考え方も、『色彩の紋章』第二部における、プールプルは「赤と黒 のあいだの色であるが、黒よりも赤により近」く、「藍か青の色をもつ」と いう記述を踏まえたものだと考えられる。したがってリーパの言う「ふた つのまったく異なる色」とは、赤と黒、もしくは赤と青と考えられるが、 それを明らかにしなかったのは、ポルポラが人によってさまざまな色名で 言い換えられる色調の定まらぬ色だからである。 |
|||||
書誌情報 |
人文科学研究 (キリスト教と文化) en : Humanities: Christianity and Culture 号 39, p. 107-127, 発行日 2008-03-31 |
|||||
出版者 | ||||||
出版者 | 国際基督教大学キリスト教と文化研究所 | |||||
ISSN | ||||||
収録物識別子タイプ | ISSN | |||||
収録物識別子 | 0073-3938 |